カバーバンドやコピーバンドはコピー対象となるバンドのことを好きだからやる、というパターンが多いんじゃないでしょいうか。
中にはドライに考えて「今ならこのバンドが世の中でウケているから、我々もコピーしてお客さんを増やそう」などという目的でコピーする場合もありますよね。
ただ、前者の「好きだからやる」というのは、なかなか厄介だったりします。
なぜなら「好き」を分かり合えない場合が多々あるから。
例えば…
ビートルズを例にとります。ビートルズは活動期間が短い割には時代によってコンセプトが異なっています。なので、よく言われるのが前期、中期、後期などで区別したりすることが多いです。
で、当然全時代のビートルズが好きだという人もありますが、多くは人によって思い入れがある時代があるんですよね。リアルタイムに過ごした世代、ずっとあとから存在を知って聞いた場合などでも全然違うし。思入れが強い分、他の意見を認められなくなってしまうこともよくある話。
ここがかみ合わないと、場合によっては言い合いにになったり、それが原因でバンドが立ち行かなくなったりします。
ある日、あるバンドがビートルズのコピーをやろうとなって、実は各メンバーがビートルズ好きだってことがわかったんだけど、結局話は破綻していしまうという会話が以下。
A「俺、ビートルズ好きなんだよね~」
B「そうなんだ、俺も割と好きかな。で、どの時代が好きなの?」
A「俺はやっぱり前期かな。一番ビートルズらしいと思うし」
B「そう?俺は後期の円熟未があって完成度が高いほうが好きだけど」
A「まぁ後期もいいんだけどさ、ビートルズと言えば前期でしょ」
B「いや、そうかもしれないけどビートルズの完成形って後期じゃない?だからビートルズの集大成として一番らしさが出てるんじゃないかな~」
A「つーか、前期がビートルズなんだよ。あれでみんな虜になったんだから」
B「わかるけど前期だけじゃないでしょ?ビートルズは。そもそもビートルズらしさなんていうのは聞く人、好きな人がそれぞれ感じていればいいんじゃないの?」
A「後期はほとんど個人プレーじゃん。ほとんどメンバーのソロだぜ?それじゃバンドとは言えないな。だからやっぱり前期だって」
B「あ、そう…(そういう曲はあるけど全部じゃねーけどな)。まぁ前期が好きなんだね。俺は前期もキライじゃないけど後期がらしくて好きだな」
A「前期の曲ならコピーするけど、後期はやらないよ」
B「それじゃ曲偏り過ぎでしょ。前期も後期も入れればいいんじゃないの?」
C「中期もやりたいな~。あの頃って音がカッコいいんだよね。前期は音がちゃちくてダメだ。後期はどっちかって言うと消化試合でしょ。バンドへの思いなんてないと思うけどね」
A「…」
B「…(そうか、中期あったな…)」
全員「話がかみ合わないな、ビートルズのコピーやめようか…」
そして、ビートルズのコピーバンドの話は始まることなく消滅することになりました。めでたしめでたし…。
ちなみに上記の会話のビートルズに当たる部分には別のバンドを入れても当てはまる場合があります。活動が長いバンドはたくさんあるし、曲数が多いバンドにしても当てはまると思います。
ここで、重要なポイントは互いを認めたほうがいいんじゃないかな~ってことです。
上記のみなさんは自分の思い入れが強くて、自分とは違う好み、意見を認めることができません。バンドなんてやっていると、好きな曲には思い入れもあるし、それを他人にもわかってもらいたい欲求はあると思います。
ただ、バンドは1人でやっているものじゃなくて、メンバーがいてこそのもの。お互いの「好き」の部分は認め合っていかないと先に進まないでしょう。好きなんていうのは人それぞれです。そこを否定してしまうと、上手くいくことはないですね。特にバンド活動というものは。
1人強力なリーダーがいて、他のメンバーはリーダーに従うだけというバンド形態なら、リーダーの思いのままというパターンもありますが…。
ちなみに私が以前やったビートルズのカバーバンドでは全時代満遍なく入れました。曲数にして20曲程度。そして、あんまり知られてない曲はリストから外していきました。
ビートルズ専門のカバーバンドで活動しているなら、マイナーな曲をいくつか入れるのはアリだと思いますが、我々は即席で結成されたバンドだし、やるのは1度だけでしたから。
だったら、お客さんが知っているであろう曲で…という話になったんですよね。
別のビートルズバンドでは、各メンバーが好きな曲を提案してそれをセットリストにするというもの。4人なら3曲ずつ持ち寄るという感じです。
現実的に演奏できる曲という縛りはありましたけど。例えば4人バンドでキーボードがいないのにキーボードがメインの曲は外そうね、ということですね。
ギターでカバーしても良いですけど、ビートルズってなるべくその通りに演奏したほうがウケはいいですからね。すでにクラシックと同じ領域に達していると思いますし。余計なアレンジはしないというか。
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バンドやっていると思いますが、意外と認め合うことって難しかったりするんですよ。しかもそのバンドについての知識が豊富だったりすると。
いわゆる「にわかファン」の言うことは聞けなかったりするわけです。それはやっぱり自分の「思い」が強すぎるから。それを押し通したいという欲求も当然でてきたりしますからね。
ただ、強い思いがそのバンドの個性になったりもするので一概にダメとは言えないのが難しいところです。
アマチュア社会人バンドで長く楽しんでいきたいということが目的ならば、互いを認め合うという意識は持っていたほうが、バンドはうまくいく場合が多いと感じています。
ところで、日々ロックって映画あるんですが、これは両者の思いは違うけれど二人が合わさることで両者の欲は達成できたことになっています。野村周平、二階堂ふみが出演しているんですが、なかなか楽しい映画なので時間があれば見てみてください。Huluで無料で見られます⇒Hulu 無料トライアル